吉田嘉明,2020,「ヤケクソくじについて」DHC https://top.dhc.co.jp/contents/other/kuji_about/ 2020年12月16日閲覧
まず本文を読んで窺えるのは、「サントリーへの嫉妬心」と「頑張っているから認めてほしい(商品を買ってほしい)」というメッセージ。問題なのは、そのやり方が致命的に下手、まずいやり方になっているということ。
全体の趣旨はこう。
売上ではサントリーに負けているけれども、一定の消費者には愛用されているし、高品質かつ安価である。もっとうちの商品の良さを知ってほしいので、「くじ」という形で消費者に還元することにした。
ここに、致命的に下手なサントリーdisが加わることによって、あの地獄が生み出されてしまったというわけ。
問題点1 [バカな消費者]と[賢明な消費者]と言うカテゴリー集合
吉田氏の脳内は至ってシンプルです。つまりこういうことです。
[バカな消費者]は「値段が高ければ品質も高いだろう(逆に、値段が低ければ品質も低いだろう)」と思っている。だから、商品の売価を下げずに「くじ」という形態を取った。そうすれば、[賢明な消費者](値段に惑わされずに品質を見定めるであろう人々)がDHCの商品を手に取ってくれるはずだ。
ただ単に消費者をバカ呼ばわりしているだけではなくて、[バカな消費者]には「サントリーの商品愛用者」が重ね合わされているというのがポイントです。
問題点2 コリアン系日本人への差別
いうまでもないので割愛します。
ただ一言付言すると、ここでもやはり{コリアン系日本人–純粋な日本人}というカテゴリー集合が、サントリー対DHCという構図に重ね合わせているというのがポイント。
その他
・以下の記事によると2019年度の通販健康食品の販売金額の割合はサントリーが17.0%の923億円で,DHCが7.4%の399億円とのこと。確かに大差で負けている。
石井岳「【2019年度の健食通販市場】市場規模は5427億円で3.5%増、上位7社の売上1位はサントリーウエルネス、2位はDHC、3位やずや」
・本文中で引き合いに出されている愛用に関するアンケートは以下。ただし、これも広告に出したことが色々と問題視されている。
平成23年度北陸地域ライフケア関連産業振興事業の「機能性食品に関する消費者の意識調査報告書」
・DHCは「創業50年の老舗」とのことだけれども、サントリーの創業は1899年であり、2020年現在で創業121年である。